「本当に公平な抽選って、どうやって証明できるの?」 「あみだくじが公平だという数学的な根拠は?」
抽選の公平性は、感覚ではなく数学と統計学で厳密に定義・証明できます。
この記事では、抽選方法の公平性を科学的な視点から徹底解説します。数式は最小限に、図解を中心に分かりやすく説明します。
数学的に「公平」と言えるための条件は以下の4つです。
定義: すべての参加者が、すべての結果に到達する確率が等しいこと。
数式:
P(参加者i が結果j に到達) = 1/n
n = 参加者数(=結果の数)
例: 5人で5つの結果を抽選する場合、各自が各結果を得る確率は 1/5 = 20%
定義: 前回の抽選結果が、次回の抽選に影響を与えないこと。
数式:
P(今回の結果 | 前回の結果) = P(今回の結果)
例: 前回Aさんが1位だったとしても、今回Aさんが1位になる確率は変わらない。
定義: 抽選実行前に結果を予測できないこと。
基準:
定義: すべての参加者が、必ず異なる結果を得ること。
数学的表現:
写像 f: 参加者集合 → 結果集合 が全単射
意味:
定理: あみだくじは、必ず1対1対応を満たす。
証明:
ステップ1: 構造の確認
ステップ2: パスの一意性 各縦線から出発すると:
このプロセスは決定的であり、同じスタート地点からは必ず同じゴールに到達する。
ステップ3: 置換の証明 あみだくじは、数学的には**置換(permutation)**を表す。
横線1本の効果:
縦線の位置 i と i+1 を交換する
m本の横線の効果:
m個の置換の合成
置換は必ず全単射(bijection)なので、1対1対応が保証される。
結論: あみだくじは数学的に1対1対応が保証されている。■
定理: 横線がランダムに配置される場合、すべての置換が等確率で生成される。
証明の概要:
n本の縦線の置換は、n! 通り存在する。
例: 3本なら 3! = 6通り
横線の配置が十分にランダムな場合:
各横線の位置が独立にランダムに選ばれる場合、十分な本数の横線を引くことで、すべての置換を等確率で生成できることが証明されている(Fisher-Yates シャッフルの理論)。
実用的な横線の本数:
結論: 横線が十分にランダムに配置されれば、等確率性が満たされる。■
定理: 横線が3本以上あれば、人間が視覚的に結果を予測するのは困難。
計算量の分析:
横線0本の場合:
横線1本の場合:
横線2本の場合:
横線3本以上の場合:
心理学的研究: 人間の視覚追跡能力は、3つ以上の交差点で急激に低下することが知られている。
結論: 横線が3本以上あれば、予測不可能性が実用的に満たされる。■
構造:
問題点:
1. 重複・欠落の可能性
くじの作成ミス → 結果の重複や欠落
例: 「当たり」が2枚、「はずれ」が足りない
数学的保証: なし
2. 作成者の操作可能性
作成者が結果を知っている
→ 特定のくじを推奨できる
透明性: 低い
等確率性: ○(正しく作られれば) 独立性: ○ 予測不可能性: △(作成者は知っている) 1対1対応: △(保証されない)
構造:
アルゴリズム例(線形合同法):
X(n+1) = (a × X(n) + c) mod m
問題点:
1. 疑似乱数の限界
真の乱数ではなく、決定的アルゴリズム
シード値が分かれば結果が予測可能
2. 周期性
疑似乱数は必ず周期を持つ
周期: 最大 m(mod の値)
3. 透明性の欠如
ユーザーはアルゴリズムを検証できない
ブラックボックス化
等確率性: ○(アルゴリズム次第) 独立性: △(シード依存) 予測不可能性: △(アルゴリズム依存) 1対1対応: ○(設計次第)
ゲーム理論的モデル:
問題点:
1. 心理的バイアス
人間は完全にランダムな選択ができない
初手は「グー」が多い(統計的に証明済み)
相手の癖を読める
2. 引き分けの頻発
2人の場合: 引き分け確率 = 1/3
n人の場合: 引き分け確率が非常に高い
3. 1対1対応の不成立
同時に複数人が勝つ可能性
→ 1対1対応が保証されない
等確率性: △(心理的バイアス) 独立性: ×(相手の選択に依存) 予測不可能性: △(戦略性がある) 1対1対応: ×
| 抽選方法 | 等確率性 | 独立性 | 予測不可能性 | 1対1対応 | 透明性 |
|---|---|---|---|---|---|
| あみだくじ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
| くじ引き | ○ | ○ | △ | △ | △ |
| ルーレット | ○ | △ | △ | ○ | × |
| じゃんけん | △ | × | △ | × | ◎ |
| Excel乱数 | ○ | △ | △ | ○ | △ |
実際の抽選が公平かどうかを統計的に検証する方法を紹介します。
目的: 各結果の出現回数が等しいかを検証
手順:
仮説設定
データ収集
統計量の計算
χ² = Σ [(観測値 - 期待値)² / 期待値]
例: 5つの結果で100回抽選
| 結果 | 観測値 | 期待値 | (O-E)²/E |
|---|---|---|---|
| A | 22 | 20 | 0.2 |
| B | 19 | 20 | 0.05 |
| C | 18 | 20 | 0.2 |
| D | 21 | 20 | 0.05 |
| E | 20 | 20 | 0 |
| 合計 | 100 | 100 | 0.5 |
χ² = 0.5 < 臨界値(9.49) → 偏りなし
目的: 分布の均一性を検証
大規模データ(1000回以上)での検証に適しています。
目的: ランダム性の度合いを定量化
シャノンエントロピー:
H = -Σ [P(i) × log₂ P(i)]
最大エントロピー(完全にランダム):
H_max = log₂ n
例: 5つの結果なら H_max = log₂ 5 ≈ 2.32
実際のエントロピーがこれに近ければランダム性が高い。
設定:
すべての可能な結果(3! = 6通り):
1. (1,2,3) → (1,2,3)
2. (1,2,3) → (1,3,2)
3. (1,2,3) → (2,1,3)
4. (1,2,3) → (2,3,1)
5. (1,2,3) → (3,1,2)
6. (1,2,3) → (3,2,1)
横線の配置パターンを変えて、各結果が等確率で出現することを確認してみましょう。
無料で使えるあみださんで以下を試してみてください:
期待される結果: 各自が1位を取る回数は約10回(±3回程度のばらつき)
回答: 横線が少ないと、以下の問題があります:
推奨本数: n人の場合、2n本以上の横線を引くことをおすすめします。
回答: いいえ、影響しません。
数学的理由: 置換の合成は結合的(associative)なので、どの順番で横線を引いても、最終的な置換は同じです。
回答: ツールによります。信頼できるツールの条件:
あみださんは、参加者全員が横線を追加するため、運営者も結果を操作できません。
回答: 個人は意図的に配置するかもしれませんが、複数人の意図が混ざることで、結果的にランダム性が生まれます。
これは「群衆の知恵」に似た現象で、多数の独立した判断が集まると、全体としてはバランスが取れます。
回答: 理論的には、**真の乱数生成器(TRNG)**を使ったデジタル抽選が最も公平です。
しかし、TRNGは:
あみだくじは、公平性と透明性のバランスが最も優れています。
抽選の公平性を科学的に証明するための条件:
あみだくじは、これらすべてを数学的に満たす:
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