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景品抽選の法的注意点【景品表示法・公正取引委員会ガイドライン完全解説】

公開日:
更新日:
著者: あみださん運営

景品抽選の法的注意点【景品表示法完全ガイド】

「会社のイベントで景品抽選をしたいけど、法律的に大丈夫?」 「SNSキャンペーンの景品に上限額はある?」

企業が景品抽選を実施する際には、景品表示法という法律を守る必要があります。違反すると、罰金や社会的信用の失墜につながる可能性も。

この記事では、景品抽選の法的ルールを分かりやすく解説します。

景品表示法と抽選のルール

本記事の参考情報源

この記事は、以下の公式情報源を基に作成しています:

消費者庁(公式):

公正取引委員会(公式):

重要: この記事は一般的な情報提供を目的としており、法的助言ではありません。個別の案件については、必ず消費者庁、公正取引委員会、または景品表示法に詳しい弁護士にご相談ください。

景品表示法とは

法律の目的

正式名称: 不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号)

目的:

  • 消費者の利益を保護する
  • 公正な競争を確保する
  • 過大な景品による不当誘引を防止する

管轄: 消費者庁・公正取引委員会

「景品」の定義

景品表示法における「景品」とは、以下の3要件を満たすものです:

  1. 顧客誘引のため

    • 商品・サービスの販売促進が目的
  2. 事業者が提供する

    • 企業や個人事業主が提供
  3. 経済的利益

    • 金品、サービス、その他経済的価値があるもの

景品に該当する例:

  • 商品券、ギフトカード
  • 家電製品、食品
  • 旅行券
  • ポイント、クーポン

景品に該当しない例:

  • 商品のサンプル(正常な商慣習の範囲内)
  • 値引き
  • アフターサービス(通常の商取引の一部)

景品の種類と規制

景品は大きく3種類に分類され、それぞれ異なる規制があります。

1. 一般懸賞(抽選型キャンペーン)

定義: 商品・サービスの購入者や利用者を対象に、くじ等の偶然性により景品を提供する。

法的根拠: 昭和52年公正取引委員会告示第3号「懸賞による景品類の提供に関する事項の制限」

例:

  • 「商品購入者の中から抽選で100名様にプレゼント」
  • 「応募者の中から抽選で1名様に海外旅行」
  • SNSフォロー&リツイートキャンペーン(購入条件付きの場合)

景品の上限額:消費者庁公式情報より)

取引価額 景品の最高額 総額の上限
5,000円未満 取引価額の20倍 懸賞売上予定総額の2%
5,000円以上 10万円 懸賞売上予定総額の2%

具体例:

  • 1,000円の商品 → 最高額 20,000円
  • 10,000円の商品 → 最高額 100,000円

注意点: 「総額の上限2%」も同時に満たす必要があります。

2. 共同懸賞

定義: 複数の事業者が共同で実施する懸賞。

法的根拠: 昭和52年公正取引委員会告示第3号「懸賞による景品類の提供に関する事項の制限」

例:

  • 商店街全体でのスタンプラリー
  • 複数企業合同のキャンペーン
  • ショッピングモール全体の抽選会

景品の上限額:消費者庁公式情報より)

取引価額 景品の最高額 総額の上限
制限なし 30万円 懸賞売上予定総額の3%

一般懸賞より緩い理由: 複数事業者が共同で行うため、特定の事業者だけが有利にならない。

3. オープン懸賞(誰でも応募可能)

定義: 商品・サービスの購入を条件としない懸賞。

法的根拠: 景品表示法上の規制対象外(購入を条件としないため)

例:

  • 「どなたでも応募可能!抽選で○○プレゼント」
  • 来店者全員が対象の抽選会(購入不要の場合)
  • アンケート回答者への景品(購入不要の場合)

景品の上限額:消費者庁公式情報より) 制限なし

理由: 購入が条件でないため、不当な顧客誘引にならない。

注意: 「購入した方は当選確率2倍」などは一般懸賞に該当するため規制対象。

違法となるケース

ケース1: 景品額の上限超過

違反例: 1,000円の商品を購入した人の中から抽選で「20万円の旅行券」

理由:

  • 取引価額: 1,000円
  • 上限: 1,000円 × 20倍 = 20,000円
  • 実際: 200,000円 → 10倍も超過

正しい対応:

  • 20,000円以下の景品にする
  • または商品を5,000円以上にして上限10万円を適用

ケース2: 総額上限の超過

違反例: 懸賞売上予定総額 1,000万円のキャンペーンで、景品総額300万円

理由:

  • 上限: 1,000万円 × 2% = 20万円
  • 実際: 300万円 → 15倍も超過

正しい対応:

  • 景品総額を20万円以下にする
  • または当選者数を増やして1人あたりの額を下げる

ケース3: 必ず当たる懸賞の誤認

違反例: 「全員にプレゼント!」と表示しているが、実際は抽選で一部の人のみ

理由:

  • 優良誤認表示(景品表示法第5条第1号)
  • 消費者を誤認させる不当表示

正しい対応:

  • 「抽選で○名様にプレゼント」と正確に表示
  • 当選確率を明記

ケース4: 二重価格表示

違反例: 「通常価格10,000円→特別価格3,000円」だが、通常価格で販売した実績がない

理由:

  • 有利誤認表示
  • 実際より有利だと誤認させる

正しい対応:

  • 実際の販売実績がある価格のみを表示
  • または「参考価格」と明記

社内イベント・非営利イベントの場合

社内懇親会・忘年会

景品表示法の適用: 適用されない(顧客誘引目的でないため)

例:

注意点:

  • 金額制限はないが、常識的な範囲で
  • 税務上の問題(給与課税)に注意
  • 社内規定を確認

NPO・ボランティア団体

景品表示法の適用: 営利目的でなければ適用されない

例:

注意点:

  • 実質的に商業活動であれば適用される可能性
  • 寄付金や会費との関係を明確に

学校行事

景品表示法の適用: 適用されない

例:

コンプライアンスチェックリスト

イベント企画段階

  • イベントの目的は明確か(顧客誘引か、社内イベントか)
  • 景品表示法の適用対象かを確認
  • 懸賞の種類(一般懸賞・共同懸賞・オープン懸賞)を特定
  • 取引価額を正確に算出
  • 景品の最高額が上限内か確認
  • 景品の総額が上限内か確認

広告・告知段階

  • 応募条件を正確に表示
  • 当選者数・当選確率を明記
  • 「必ず当たる」などの誤認表現を避ける
  • 景品の内容を具体的に記載
  • 応募期間・抽選日を明示

抽選実施段階

  • 公平な抽選方法を採用
  • 抽選プロセスの透明性を確保
  • 当選者の発表方法を事前に明示
  • 個人情報保護法の遵守

事後対応

  • 当選者への連絡を迅速に
  • 景品の配送・提供を確実に
  • 記録を保存(3年間推奨)
  • クレーム対応体制の整備

違反した場合の罰則

法的根拠: 不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)

行政処分

措置命令(景品表示法第7条):消費者庁公式情報より)

  • 違反行為の差し止め
  • 再発防止策の実施
  • 一般消費者への周知

課徴金(景品表示法第8条):

  • 違反売上の3%
  • 対象期間: 最大3年間

例: 年間売上1億円の商品での違反 → 課徴金: 1億円 × 3% = 300万円

刑事罰

故意の違反(第36条):

  • 2年以下の懲役
  • または300万円以下の罰金
  • またはその両方

法人処罰(第37条): 法人にも3億円以下の罰金

社会的影響

  • 企業イメージの低下
  • メディアによる報道
  • 取引先からの信頼喪失
  • 採用活動への悪影響

適法に景品抽選を実施するためのポイント

ポイント1: オープン懸賞の活用

メリット:

  • 景品額の上限がない
  • 規制が緩やか
  • 広くアピールできる

デザイン例: 「商品購入の有無にかかわらず、どなたでも応募可能」

ポイント2: 景品額を抑える

1,000円以下の商品: 景品の上限は20,000円

5,000円以上の商品: 景品の上限は100,000円

戦略: 高額景品1つより、中額景品を複数用意する

ポイント3: 共同懸賞の検討

複数企業で共同実施すれば:

  • 景品の上限が30万円に
  • 総額上限も3%に

ポイント4: 専門家への相談

不安な場合は:

  • 弁護士(景品表示法専門)
  • 公正取引委員会への照会
  • 業界団体のガイドライン確認

よくある質問

Q1: 社内イベントなら何でもOKですか?

A: 基本的にOKですが、以下に注意:

  • 税務上の問題(高額すぎると給与課税の可能性)
  • 社内規定の確認
  • ハラスメントにならないよう配慮

Q2: SNSキャンペーンは規制対象ですか?

A: ケースバイケースです:

  • フォロー&RTだけ → オープン懸賞(上限なし)
  • 商品購入者限定 → 一般懸賞(上限あり)

Q3: 当選確率を明示しないとダメですか?

A: 法律上の義務はありませんが、明示を強く推奨:

  • 消費者庁の指針で推奨
  • トラブル防止
  • 信頼性向上

Q4: 個人事業主のイベントも規制対象ですか?

A: はい、事業者であれば対象です。

  • 法人か個人かは無関係
  • 事業として実施していれば適用

Q5: 外国企業が日本でキャンペーンする場合は?

A: 日本国内の消費者が対象なら日本の景品表示法が適用されます。

まとめ

景品抽選の法的ポイント:

規制の対象:

  • 顧客誘引目的の景品提供
  • 事業者が実施するもの

景品の種類と上限:

  • 一般懸賞: 最高10万円(または取引価額の20倍)
  • 共同懸賞: 最高30万円
  • オープン懸賞: 上限なし

違反のリスク:

  • 課徴金(売上の3%)
  • 刑事罰(2年以下の懲役等)
  • 社会的信用の失墜

安全な実施方法:

法律を守りつつ、公平で盛り上がる抽選を実現しましょう!

免責事項: この記事は一般的な情報提供を目的としており、法的助言ではありません。具体的な案件については、必ず弁護士や公正取引委員会にご相談ください。


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